ソラナ現物ETF申請は、親暗号資産的なトランプ政権誕生への賭けか | CoinDesk JAPAN(コインデスク・ジャパン)

  • ヴァンエック(VanEck)と21シェアーズ(21Shares)は先週、ソラナETF(上場投資信託)のローンチを申請した。
  • バイデン政権の下では却下されることは初めからわかっているようだが、承認プロセスにおける重要な期限は、トランプ氏が大統領に返り咲いた場合にはすでに就任した後の2025年だ。
  • トランプ氏が最近、暗号資産(仮想通貨)に好意的なことを考えると、ソラナETFが承認される確率は高まるだろう。

ヴァンエックは先週、ソラナ(SOL)NFTのローンチを申請した最初の会社となり、暗号資産ETFビジネスの拡大に余念がない。21シェアーズもその翌日に申請した。

「11月の選挙に対するコールオプション」

承認手続きにどれほどの時間がかかるかを考えると、この2社の決定は、新たに暗号資産に好意的な姿勢を示しているトランプ氏が11月の米大統領選で勝利し、1月に大統領に就任することへの賭けにも思える。

米国では今のところ、ビットコイン現物ETFしか承認されておらず、(ヴァンエックなどによる)イーサリアム現物ETFもまだ完全には承認されていないが、ソラナは時価総額の大きな暗号資産のひとつであることを考えれば、次のステップとしては自然な選択だ。

しかし、バイデン政権下の米証券取引委員会(SEC)によるETF認可の前提である「確立され、規制を受けたデリバティブ市場を持つ」という要件をソラナはクリアしていない。ビットコインもイーサリアムも、CMEグループの暗号資産先物契約という形でそれを手にしていた。

トランプ元大統領が暗号資産に好意的になり、選挙運動で暗号資産による献金を受け入れていることから、そのような反対意見はすべて無意味となるかもしれない。

「ヴァンエックの申請は、11月の選挙に対する一種のコールオプションだと思う」とブルームバーグ・インテリジェンス(Bloomberg Intelligence)のETFアナリスト、ジェームズ・セイファート(James Seyffart)氏は、21シェアーズが2番目のソラナETF申請者となる前に行われたインタビューで語り、次のように続けた。

「現行のSECの下では、暗号資産ETFに対する長年の承認・却下の判断をもとにすれば、連邦政府によって規制された先物市場が存在しないため、ソラナETFは却下されるはずだ。しかし、暗号資産に、より好意的な新政権と新SECが誕生すれば、この予測は変わる可能性がある」

報道によれば、イーサリアム現物ETFはSECからの最終承認を待っており、今にも承認される可能性があるという。しかしそれを待たずに、ニューヨークを拠点とするヴァンエックは次の一手を打った。

鍵を握る期限

タイミングが重要な役割を果たす。ヴァンエックは6月27日にソラナETFのための「S-1」申請書を提出した。これは、企業が新しい証券を市場に提供しようとするときに必要なもの。しかし、2つ目の「19b-4」フォームが提出されなければ、「S-1」の提出は無意味となる。

「S-1」をめぐる決定には一定のタイムラインはないが、「19b-4」に対しては、SECは240日以内に回答せざるを得ない。もしヴァンエックが近日中にソラナETFの「19b-4」を提出するとすれば、それに対する回答期限は2025年2月下旬頃となり、新政権が誕生してから1カ月後になる。

予測市場ポリマーケット(Polymarket)での現在の賭けでは、11月の大統領選挙でトランプ前大統領がバイデン現大統領に勝利する確率は67%と示されている。暗号資産関連商品を認可するよう、バイデン政権下のSECを説得することは目に見えて難しく、何年もかかっている。

しかし、トランプ政権が誕生すれば、ゲンスラー現SEC委員長が交代し、SECの優先事項が大きく変わることは間違いない。

「CMEで取引されるソラナ先物が現在存在しないことを考えると、ソラナ現物ETFが承認されるには、どの暗号資産が証券でどれがコモディティなのかを明確に定義する合法的な暗号資産の規制フレームワークを導入するか、ソラナが非証券コモディティとして指定されることにSECが同意するしかなさそうだ」と投資顧問会社ETFストア(ETF Store)のネイト・ジェラチ(Nate Geraci)社長は語った。

「いずれにせよ、SECは現在規制されていない暗号資産スポット取引所との監視共有協定も受け入れる必要がある。現政権下でそのすべてが実現する可能性は極めて低いと思われ、ヴァンエックと21シェアーズの申請は、より暗号資産フレンドリーな新政府に賭けている可能性が高い」とジェラチ氏は指摘した。

ヴァンエックは、ソラナETFの申請がトランプ氏勝利への賭けかどうかについてはコメントを避けた。

|翻訳・編集:山口晶子、増田隆幸
|画像:Consolidated News Photos / Shutterstock.com
ソラナETF申請はトランプ氏がホワイトハウスを奪還し、米国が暗号通貨に友好的になることへの賭けのように見える