デジタル庁「Web3.0研究会」の報告書を公開 | 仮想通貨・ブロックチェーン技術への取り組み示す – CRYPTO TIMES

デジタル庁が牽引する「Web3.0研究会」の2022年度の報告書が公開されました。

本日「Web3.0研究会報告書」を公表しました。Web3.0の下での新しいデジタル技術を、様々な社会課題の解決に活用しながら経済成長につなげていくという基本的考え方の下、とりまとめたものです。ぜひご覧ください。https://t.co/FznoHOGYDX

— デジタル庁 (@digital_jpn) December 27, 2022

報告書によると、上記研究会ではWeb3.0分野について「テクノロジーや事業環境の変化のスピードが速い」「活動の領域が国境を越える」の2点が特徴に挙げられ、その上で下記3つの内容を元に方向性の決定が行われたとしています。

  • 環境の変化に即応して成果を出すための*OODAループ手法が有効
  • 弾力的なルール形成の検討と関係者が定期的にルールの検証及び改訂を繰り返すメカニズムが必要
  • グローバルで通用するルールやコンセンサスの形成が重要

*OODAループ = 先が読めない状況において有効とされる意思決定の手法。Observe(観察)→Orient(分析)→Decide(決断)→Act(実行)の順番で実行される。

上記前提の元、Web3.0研究会は早急に着手すべきイノベーション促進策として、

  1. 対話の場としてのプラットフォームの設置
  2. 「相談窓口」の設置と課題解消に向けた「関係府省庁連絡会議」の開催
  3. Web3.0に係る国際的な情報発信・コンセンサス形成への関与
  4. 研究開発・技術開発の担い手の育成

の4つの項目を挙げました。

今後の取組 | 画像引用元:デジタル庁

今後の方向性としては、Web3.0研究会DAOと関係府省庁、国内ステークホルダーのBGIN等への参画によりお互いが連携を行い、Web3.0の健全な発展に取り組む個人/組織が有機的に結合し、より合理的で良い制度/サービス・ツールが選択されることを目指すとしています。

方向性を掲げる5つの分野

Web3.0研究会はさらに、Web3.0の健全な発展に向けた基本的な方向性として「デジタル資産」「DAO(分散型自立組織)」「DID(分散型アイデンティティ)」「メタバースとの接合」「利用者保護と法執行」の5つの分野を挙げました。

デジタル資産に関して、規制の枠組みの変化が激しいデジタル資産市場において、市場の成長を阻害しないようにしながら、グローバルの動向を踏まえつつ将来の変化にも対応できるような柔軟な対応を検討し、信頼性確保を検討していく必要があるとしました。

DAOにおいては、便益や課題をさらに具体化した上で、デジタル庁が設置する相談窓口などを活用しながら、多くのユースケースが誕生する必要があるとしています。

DIDに関しては、パブリックチェーンの活用とプライバシー確保の両立などの課題がある中、今後のプライバシー保護技術の研究開発や応用の進展に注視し、身分証明書などのサービスの相互運用性や、国境を越えた信頼できるデータ流通への応用を模索していくとしています。

一般業界からも注目を集めるメタバースに関しては、利用者間の紛争が国境を越えて発生した場合の法執行の在り方などについて、Web3.0全体の課題と重なっており、関係府省庁が連携して情報共有・課題解決を図っていくことが重要としました。

利用者保護と法執行について、国内の体制整備と国際的な連携強化の継続が重要とした上で、関係府省庁が連携し、利用者からの相談事例の把握や分析を行いながら被害の未然防止をするための取り組みが必要であるとしています。

Web3.0研究会について

今回報告書を公開した「Web3.0研究会」とは、今年6月に閣議決定された「デジタル社会の実現に向けた重点計画」等においてブロックチェーン技術や暗号資産の利用によるWeb3.0推進に向けた環境整備が含まれたことを受けて作成された団体。同団体では、デジタル大臣に指名された構成員を中心に2022年10月から全12回に渡って様々な議論や意見交換が行われています。

構成員と開催実績 | 画像引用元:デジタル庁

今年11月には、前述の「Web3.0研究会DAO」の立ち上げを発表し、トークン配布や投票などの機能を実装するなど先進的な取り組みが行なわれています。

記事ソース:資料(1)、資料(2)