ビットコインマイニング企業、生き残るために必要なこと | coindesk JAPAN | コインデスク・ジャパン

2022年はビットコインマイニング企業にとって、破滅的な1年だった。金利上昇によって資本コストが上昇し、ビットコイン(BTC)価格が大きく下落する一方でハッシュレートは上昇、マイニング企業の財務戦略は難しいものとなり、ビットコインマイニングの収益性は低下した。

この大混乱の結果は、マイニング企業5社の株価に表れている。コア・サイエンティフィック(Core Scientific)、ライオット・ブロックチェーン(Riot Blockchain)、ビットファームズ(Bitfarms)、アイリス・エナジー(Iris Energy)、クリーンスパーク(CleanSpark)の株価は年初からそれぞれ99%、85%、91%、92%、そして79%下落した。

大変な状況だ。

だが、これはビットコインは終わった、あるいは、ビットコインは価値がなくなるという意味ではない。私は10月にまったく反対の意味を示す記事を書いている。

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上場しているマイニング企業が消滅するというわけでもない。意味していることは間違いなく、私たちはちょっとしたリストラと戦略の合理化によって、マイニング業界を以前よりも良い状態にしていく予定(そして、その真っ最中)ということだ。

何が問題だったのか?

この数年間、一部のマイニング企業はマイニングしたビットコインを保有し、代わりに借り入れ(負債)や他の資本で運営資金を賄ってきた。この方法は、次の2つの条件が揃ったときにうまく機能する。

  1. ビットコイン価格が上昇し、ビットコインに参入しようとする人が多い。
  2. 資本コストが安いため、利回りを求めてビットコインに参入しようとする人の数は多い。

この2、3年、この2つの条件が当てはまっていた。そのため、ビットコインマイニング企業は、利益を明確にビットコインマイニングから得ているわけではないという実に奇妙な状況が生まれていた。ビットコインマイニング企業は、ビットコインマイニングに資金を提供することから利益を得ていた。

理論的にはビットコインマイニング企業は、マイニング機器を所有し、マイニングしたビットコインの一部を運営に必要な経費に充てる。

だが今の奇妙な世界では、ビットコインマイニング企業は、マイニング機械を所有し、借り入れや株式市場から資金を調達して必要な経費に充てている。

すべてのマイニング企業がそうしているわけではないが、例えば、マラソン・デジタル(Marathon Digital)は過去26カ月間にマイニングしたビットコインをすべて保有し、運営経費に一切充てていない(一切売却していない)。

これは、正しいビジネスの姿とは言えないだろう。ビジネスは資本市場に依存するのではなく、長期的な継続を前提として運営されるべきであり、そのために必要なコストを上回るお金を稼ぐべきだ。でなければ、そのビジネスは存在してはならない。

つまり、1)ビットコイン価格が下落し、2)資本コストが上昇し、3)ビットコインマイニングの競争が厳しくなるという状況になると、現状の奇妙な状況は大変なことになる可能性がある。

実際、こうしたことは2022年に起こり、コア・サイエンティフィックの破綻、アルゴ・ブロックチェーンを倒産から救うための全面的リストラと資本注入、ビットファームズCEOの辞任というニュースにつながった。

今、良いこととは?

マイニング企業が苦しい状況にあることは理解しているが、悲観的な状況の中にも、楽観的になれる理由は(当然ながら)存在する。

理論的には、マイニング企業は儲かるときにマイニングし、儲からないときにはマイニングしない。マイニングマシンは簡単に電源を入れたり、切ったりできる。

しかし実際には、ビットコインや電力料金の日々の動きに応じて、マイニング企業がマシンを停止したり、積極的に動かしたりすることはない。マイニング企業はコンスタントにマイニングを行っている。そのため、「マイニングしたビットコインをすべて保有する」だけではない、ある種の財務戦略が必要になる。

戦略とは、要はマイニングしたビットコインの一部を運営資金に充てるためにコンスタントに売却することだ。ビットコインはいずれ下落するかもしれないし、電力料金は上昇するかもしれないから。

株式市場の投資家は、キャッシュフローの予測可能性とバリュエーションの上昇可能性の両方を評価する。ビットコインマイニング企業は後者は間違いなく持っているが、前者はきわめて欠けている。適切な財務戦略によって、収益性の不明確さの軽減が期待できる。

コンスタントに売却する戦略では、ビットコインを保有し続け、強気相場の間に高値で売却することはできないが、マイニング企業は市場ストレスにより簡単に対処できるようになる。それに、マイニング企業は市場のタイミングを見極めることが仕事ではなく、マイニングが仕事だ。

つまり、今何が起ころうとも、少なくともこの破滅的な状況と市場の低迷を乗り切ったマイニング企業は、何か変化すると考えられる。大手マイニング企業は「マイニングしたビットコインをすべて保有する」戦略を見直すだろうし、そうすれば、将来にわたって長期的に事業を続けていけるはずだ。

もちろん、マイニング企業が現状から何かを学ぶことが前提だ。

|翻訳:coindesk JAPAN
|編集:増田隆幸
|画像:Shutterstock
|翻訳:ビットコインマイニング企業が2023年に生き残るために必要なことは?