中国のデフレ、金融引き締めの終焉を示唆か──BTCは3万ドル超で堅調 | CoinDesk JAPAN | コインデスク・ジャパン
中国の生産者物価指数(PPI)のデータから、昨年初めに始まる暗号資産(仮想通貨)を含むリスク資産を動揺させた世界的な流動性引き締めサイクルが終わりに近づいていることが示唆されたため、7月10日、ビットコイン(BTC)は3万ドルを超えて堅調に推移した。
中国国家統計局(NBS)が7月10日に発表した6月の生産者物価指数(PPI)は前年同月比で5.4%低下し、9カ月連続で、なおかつ過去7年間で最も大きな低下となった。
これは輸出価格の低下と世界経済のデフレ圧力につながりそうだ。中国は世界の主要経済国の最大の貿易相手国だ。デフレとは、一般物価水準の持続的な下落のことで、インフレ率がマイナスになったときに起こる。
ビットコインの価格チャート(CoinDesk/Highcharts.com)
世界最大の製造品供給国での持続的なデフレは、西側の中央銀行にとって助けとなるだろう。欧米では、ここ数年、場合によっては数十年来の高水準にあるインフレを抑制することを目的とした中央銀行の積極的な利上げが、経済全体に打撃を与えている。
アメリカ連邦準備制度理事会(FRB)は2022年3月以降、金利を5%以上引き上げ、基準金利を5%~5.25%の範囲にした。ヨーロッパでは、クレディ・スイス(Credit Suisse)がスイスのライバルUBSに救済された。
「中国は西側諸国にディスインフレを輸出している」と、暗号資産流動性ネットワークParadigmの機関投資家販売ディレクター、デビッド・ブリッケル(David Brickell)氏は米CoinDeskに語った。「生産者物価には反映されているが、消費者物価にはまだ完全に反映されていない。最終的に、これは世界的なハイキングサイクルの終わりに関連して、リスク資産にとって良いことだろう」。
5月のアメリカの生産者物価の年間上昇率は1.1%で、約2年半ぶりの低水準だった。消費者物価指数(CPI)は4%上昇したが、過去2年間で最低だった。CNNが引用したリフィニティブ(Refnitiv)のデータによると、12日に発表される6月のCPI上昇率は3.1%とさらに鈍化すると予想されている。
中国PPIへの反応は鈍い
しかし今のところ、中国のPPIデータはリスクオンの上昇を呼び起こすには至らず、ビットコインは3万ドルを超えても方向性が定まらず、S&P500に連動する先物は0.5%安で取引されている。ドル指数は0.15%高の102.42まで上昇した。
投資家は現在、データのネガティブな点に注目しているようだ。中国の数字が下がり続けていることは、景気回復の行き詰まりを示唆している。今年初め、アナリストたちは中国の景気回復が世界の成長とリスク資産にとって大きな追い風になるとしていた。
データ発表後のS&P500先物やアジア株式市場の軟調は、世界の収益と中国の生産者物価の強い関係に起因している。True Insightsの創設者であるイェルーン・ブロックランド(Jeroen Blokland)氏は、「最新のPPIは収益にとって良い兆候とは言えない」とツイートした。
ブリッケル氏によれば、債券利回りがピークに達すれば、ビットコインは次の上昇に転じるという。
「中国の成長鈍化がもたらすネガティブな影響に注目するのが自然な反応だ」とブリッケル氏は述べている。「リスク資産も先週の債券売りに適応している。利回りが上がれば、株は安定するのではないか。特にドルの弱さを考えると、利回りの逆転がBTCの次の上昇の引き金になると予想する」。
先週、10年物の米国債の利回りは4年4カ月ぶりの高水準となる4.09%まで上昇し、2年物は6日に発表された米ADP民間雇用者数の大幅な伸びを受けて2006年以来の高水準を記録した。
7日に発表された非農業部門雇用者数は6月の雇用創出の鈍化を示したが、平均時給の予想外の上昇とともに失業率は低下しており、利回りは上昇基調を維持した。
債券利回りの上昇は、リスク資産への資金流入を抑制する傾向がある。12日に発表される6月の米消費者物価指数(CPI)でインフレ率の鈍化が続けば、利回りは低下する可能性がある。
|翻訳:CoinDesk JAPAN
|編集:井上俊彦
|画像:CoinDesk/Highcharts.com
|翻訳:中国工場のデフレが世界的な引き締めサイクルの終わりが近づいていることを示唆する中、ビットコインは3万ドルを超えて安定