野村證券のスイス子会社と英ブレバン・ハワードの合弁会社「リブレ(Libre)」がファースト・アブダビ銀行と提携──RWAトークンを担保とする融資を開始 | CoinDesk JAPAN(コインデスク・ジャパン)

  • リブレは、ブレバン・ハワードのファンド、ハミルトン・レーンの固定金利型商品、ブラックロックのマネーマーケットファンドのトークン化バージョンを約1億5000万ドル分発行している。
  • リブレは、9月にMakerDAOフォーラムで、優良銘柄のRWAトークンを担保として使用することをすでに提案していた。

ファースト・アブダビ銀行(First Abu Dhabi Bank:FAB)は、ブレバン・ハワード(Brevan Howard)のWebNグループと野村證券のレーザー・デジタル(Laser Digital)が支援するトークン化の専門家であるリブレ・キャピタル(Libre Capital)と現実資産(RWA)トークンを使用したブロックチェーンベースの担保付融資を行う覚書(Memorandum of Understanding:MoU)を締結した。

3月にサービスを開始して以来、リブレはブレバン・ハワードのファンド、ハミルトン・レーン(Hamilton Lane)の債券型商品、ブラックロック(BlackRock)のマネーマーケットファンド(MMF)のトークン化版を約1億5000万ドル分(約225億円、1ドル=150円換算)発行している。覚書に基づいた、FABは、承認された貸し手にリブレが発行したトークンを担保とするステーブルコイン貸付を提供する信用枠の試験運用を行っている。

さまざまな暗号資産(仮想通貨)の保有者は、担保としてトークンを熱心に利用している。リブレは9月にMakerDAOフォーラムで優良なRWAトークンを担保として使用することをすでに提案しており、今回、3350億ドル(約50兆2500億円)規模の銀行を巻き込むことになった。FABは、イーサリアム(Ethereum)、ポリゴン(Polygon)、ソラナ(Solana)、ニア(NEAR)、アプトス(Aptos)、コインベース(Coinbase)のレイヤー2ネットワークであるBASEなどのパブリックチェーン上のリブレの資産に対する貸付信用枠を通じて流動性を処理することになる。

リブレの担保付レンディングサービスは、同社が「プロジェクトHODL(高利回り最適化分散型流動性の略)」と呼ぶ取り組みの一環だ。

リブレの創設者兼CEOであるアヴター・サーラ(Avtar Sahra)氏はインタビューで、「当社は、担保付貸付という形で運用資産に実用性を追加することに取り組んできた」と語った。「本質的には、RWAトークンを担保として利用できるようにするオンチェーンのインフラだ。レンディングは法定通貨ではなく、すべてステーブルコインで行われ、ブローカー、ディーラーやレーザー・デジタルなどの既存の貸し手を通じて提供され、現在ではFABのようなプロバイダーから信用枠を得ている」。

UAEでの覚書署名式で、FABのグローバルマーケット部門のグループヘッドであるサメ・アル・クバイシ(Sameh Al Qubaisi)氏は、リブレの構想は同地域におけるイノベーションを推進するという銀行の取り組みを強調するものだと述べた。

「この構想を通じて、FABはトークン化された資産を担保とする安全な信用供与を実現することを目指している。自動化されたプロセスにより、強固なリスク管理と完全な規制遵守を確保する」と、アル・クバイシ氏は声明で述べた。

|翻訳:CoinDesk JAPAN
|編集:井上俊彦
|画像:リブレのアヴター・サーラ(Avtar Sahra)CEO(提供:サーラ氏)
|翻訳:ファースト・アブダビ銀行、担保融資のためにトークン化企業リブレに参加