仮想通貨とは? 仕組みから投資、事例までわかりやすく解説 | Cointelegraph | コインテレグラフ ジャパン

ニュースで「ビットコイン」などの言葉を聞くことはあれど、仮想通貨の仕組みまで知っている人は少ないのではないだろうか。

仮想通貨は投資先としてはもちろんだが、実は従来のビジネスモデルを大きく変える画期的なテクノロジーとしての側面を持っている。

本記事では、仮想通貨の仕組みから投資方法まで、仮想通貨になじみのない人でも理解できるようわかりやすく解説する。

仮想通貨とは

仮想通貨(cryptocurrency)はインターネット上で取引されるデジタル通貨の一種で、デジタル資産、暗号資産とも呼ばれる。

2017年後半には仮想通貨バブルが起き、その結果として日本でも仮想通貨に対する一般的な関心が急激に高まったといえる。

日本銀行による仮想通貨の定義は以下の通りだ。

「暗号資産(仮想通貨)」とは、インターネット上でやりとりできる財産的価値であり、「資金決済に関する法律」において、次の性質をもつものと定義されています。

(1)不特定の者に対して、代金の支払い等に使用でき、かつ、法定通貨(日本円や米国ドル等)と相互に交換できる
(2)電子的に記録され、移転できる
(3)法定通貨または法定通貨建ての資産(プリペイドカード等)ではない

日本銀行『質問暗号資産(仮想通貨)とは何ですか?』(https://www.boj.or.jp/about/education/oshiete/money/c27.htm) 2023年5月10日

日本銀行による定義は「資金決済に関する法律」による定義をわかりやすく変換したものだ。実際の定義は以下のとおりである。

5 この法律において「暗号資産」とは、次に掲げるものをいう。ただし、金融商品取引法(昭和二十三年法律第二十五号)第二条第三項に規定する電子記録移転権利を表示するものを除く。
一 物品を購入し、若しくは借り受け、又は役務の提供を受ける場合に、これらの代価の弁済のために不特定の者に対して使用することができ、かつ、不特定の者を相手方として購入及び売却を行うことができる財産的価値(電子機器その他の物に電子的方法により記録されているものに限り、本邦通貨及び外国通貨並びに通貨建資産を除く。次号において同じ。)であって、電子情報処理組織を用いて移転することができるもの
二 不特定の者を相手方として前号に掲げるものと相互に交換を行うことができる財産的価値であって、電子情報処理組織を用いて移転することができるもの

e-GOV法令検索『資金決済に関する法律(平成二十一年法律第五十九号)(令和四年法律第六十八号による改正)第二条第五項』(https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=421AC0000000059) 2023年5月11日

日本円やアメリカドルなど、国が価値を保証する法定通貨は、「紙幣や硬貨」といった実体があるが、仮想通貨は「電子データ」であるため実体がなく、日本銀行など中央銀行の公的な管理者や発行主体も存在しないものが多い。(管理主体がある仮想通貨も存在する。)

仮想通貨は、2009年に運用が開始されたビットコインが有名だが、イーサリアム(ETH)やリップル(XRP)といった派生の仮想通貨「アルトコイン(altcoin)」も数多く存在する。

日本国内では、2017年4月1日に施行された「改正資金決済法」において初めて仮想通貨に関する法律が制定された。

これにより仮想通貨は公に認められるとともに、国による規制を受けるようになり、仮想通貨の売買を行う業者は「仮想通貨交換業者」として登録が必要になった。

そして、2020年5月1日施行の法改正により、仮想通貨の名称は「暗号資産」に改められた。現在は仮想通貨交換業者も正式には「暗号資産交換業者」と呼称されている。

電子マネーと仮想通貨の違い

電子マネーと仮想通貨は、両者とも電子的な形であるという点から混同されることが多いが、その性質や利用法に大きな違いがある。

電子マネーは、前払い式の決済手段である。利用者は予め一定の額を電子マネーに入金(チャージ)し、その入金した額を元に商品やサービスの購入を行う。つまり、電子マネーの価値は法定通貨に連動している。

また、電子マネーの発行主体は電子マネーの運営企業である。SuicaであればJR東日本、WAONであればイオンリテール株式会社が発行主体だ。そして、使える場所も一定のエリアやサービス内に限られている。

一方ビットコインなどの非中央集権型の仮想通貨は特定の国や組織に依存しない通貨として利用され、その価値は需要と供給によって変動する。

また、仮想通貨はインターネットが利用できる限り、国境をまたいで様々な取引が可能である。

仮想通貨の仕組み

仮想通貨の仕組みを理解するために欠かせない、4つの構成要素を解説する。

ブロックチェーン

ブロックチェーンとは、複数の管理者がデータを分散管理するという仕組みだ。「分散型取引台帳」とも呼ばれる。

取引情報を格納した「ブロック」が鎖(チェーン)のように連なっていくことが名前の由来だ。

ブロックチェーンには、管理者不在で誰でも参加できる「パブリック型」と、特定の組織内で管理される「プライベート型」「コンソーシアム型」がある。

データを管理、と聞くとデータベースを想像する人が多いかもしれないが、ブロックチェーンはデータベースとは異なる。

データベースの場合、管理者がデータを削除したり、改ざんすることが容易だが、ブロックチェーンは(主にパブリック型の場合)、ネットワーク上に公開されている取引データを複数のユーザーが管理・監視しているため、データの改ざんが極めて難しい。

ブロックチェーンはビットコインの開発過程において発明された技術であり、さまざまな仮想通貨に活用されているほか、IoTやフィンテックなど幅広い分野でも応用が期待されている。

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P2Pによる非中央集権型取引

P2P(Peer to Peer:ピアツーピア)とは、端末同士で通信を行うネットワーク方式の一つだ。中央サーバーを介さずに、コンピューター同士が対等な立場でデータをやり取りする

中央サーバーを使った中央集権型のネットワークでは、サーバーに障害が起きた時に取引ができなくなったり、ハッキング被害などのリスクが高まる。

P2Pにより取引履歴などのデータを分散して各ノードが保有することで、そのリスクを大幅に軽減することができる。

P2Pによる非中央集権型取引
暗号技術(公開鍵暗号方式)

仮想通貨は英語で「Cryptocurrency」と呼ばれるが、Cryptoは暗号、currencyは通貨を意味する。仮想通貨は暗号技術をベースとしており、暗号技術は安全な取引のために欠かせないものである。

ビットコインで使用される暗号技術は「公開鍵暗号方式」と呼ばれるもので、電子署名やインターネット通信の暗号化などで以前より広く使われている。

公開鍵(Public Key)」と「秘密鍵(Private Key)」という2つの鍵がペアで1セットになっており、秘密鍵から作られる公開鍵によって、ビットコインの送金先を示す「ビットコインアドレス」が作成される。

ビットコインの送金情報は秘密鍵によって暗号化され、ビットコインを受け取る人は公開鍵で暗号を解読する仕組みになっている。    

マイニング

マイニングとは、簡単に言えば仮想通貨の取引データをブロックチェーンに追記し、報酬を受け取ることができる作業のことだ。

ビットコインなどの非中央集権型の仮想通貨には国や銀行のような管理機関がないため、マイニングをする「マイナー」が、仮想通貨の取引が正しく行われたかどうかを検証する。

マイニングは膨大な計算を処理するために大量の電力を必要とする場合があり、多額の電気料金がかかる。

ビットコインが広がり始めた頃には、個人が自分のPCでマイニングを行うケースも見られたが、現在では電気料金の安い国などで組織的にマイニングが行われ、一部のマイニング業者による寡占状態となっている。

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仮想通貨の用途

投資のイメージが強い仮想通貨だが、その用途は投資だけにとどまらない。仮想通貨の5つの代表的な用途を解説する。

投資

仮想通貨は投資の対象となり、価格が安い時に購入し、価格が高い時に換金することで利益を得ることができる。

レバレッジ(てこの原理)によって手持ち資金以上のお金を取引することも可能だ。

例えば、レバレッジ2倍の場合、1万円で2万円分の仮想通貨を取引することができる。

さらに、仮想通貨価格が下がると予想する場合は、先に売って後から買い戻す「ショート」という取引方法でも利益を狙うことができる。

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送金・決済

仮想通貨は送金や決済手段としても利用できる。例えばビットコインの場合、相手のビットコインアドレスを指定するだけで、金融機関を通さず個人間(P2P)で送金することができる。

また仮想通貨決済に対応している実店舗やオンラインショップで、仮想通貨を使用して買い物ができる

最近では、ガス代や電気代などの公共料金を、ビットコインで支払いができるサービスも登場している。

寄付

仮想通貨は寄付手段としても活用される。法定通貨による寄付よりも手数料が安く、ブロックチェーンの性質上「誰から誰に寄付したか」が分かりやすく透明性が高いというメリットがある。すでに赤十字社などで、仮想通貨による寄付受付の事例がある。

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資金調達

仮想通貨は企業・プロジェクトの資金調達手段としても利用される。

資金調達したい企業が独自の仮想通貨を発行し、投資家が購入する資金調達方法は「ICO(Inicial Coin Offering)」と呼ばれる。

しかし、ICOには詐欺が多いという問題があった。

そこで登場したのが「IEO(Initial Exchange offering)」だ。

IEOもICOと同じく資金調達方法であるが、IEOはプロジェクトと投資家の間に「仮想通貨取引所」が入っているという点で異なる。

取引所が間に入りプロジェクトの審査を行い、審査に通ったプロジェクトのトークンが取引所に上場する。

取引所の審査に通すことや、取引所内で取引を行うということが投資家からの信頼度を高めることに繋がり、今ではIEOに注目が集まることが多い。

開発プラットフォーム

仮想通貨の技術を応用してゲームなどのアプリや、金融システムなどの開発が行われることもある。

主に仮想通貨イーサリアム(ETH)のスマートコントラクトという機能を使い、さまざまな開発が行われている。


仮想通貨の種類一覧 

仮想通貨の種類は、実に数千種類以上にものぼるとされている。ここでは、2023年5月時点で時価総額ランキングの上位を占める、代表的な仮想通貨を紹介しよう。

まず下記の8つは、国内取引所で取扱いがある、代表的な仮想通貨である。

ビットコイン(BTC)

2008年にサトシ・ナカモト氏が考案した、世界初の仮想通貨。発行枚数が2100万枚に決まっており、デジタルゴールドとも呼ばれる。

イーサリアム(ETH)

2013年に、当時19歳だったカナダ人のヴィタリック・ブテリン氏が考案。分散型アプリケーション(DApps)やスマートコントラクトを構築するプラットフォーム。

リップル (XRP)

リップル社が管理主体となっている中央集権型の仮想通貨。高速処理と低コスト化を実現し、国際送金のブリッジ通貨として期待される。世界数十カ国の銀行や決済業者と提携しており、日本国内でも、三菱UFJ銀行などのメガバンクが実証実験を行ったことがある。

カルダノ(ADA)

DAppsを開発するためのプラットフォーム。イーサリアムなどの仮想通貨開発に携わった数学者チャールズ・ホスキンソン氏らが2017年にプロジェクトを開始。

ポルカドット(DOT)

2017年にWeb3財団が開始。異なるブロックチェーン間でデータ共有が可能。

ライトコイン(LTC)

ビットコインの課題を解決するために2011年に公開され、より速い送金スピードや高い公平性を実現。投資家の間ではビットコインが「金」、ライトコインが「銀」と呼ばれることも。

チェーンリンク(LINK)

外部システムのデータとブロックチェーンネットワークのデータをつなぐミドルウェアの機能を持ったプラットフォーム。アメリカのスマートコントラクト社によって開発され、17年にメインネットをローンチした。

ドージコイン(DOGE)

インターネットで話題となった柴犬をモチーフにした仮想通貨。ビットコインのパロディ通貨として2013年に誕生した。テスラのイーロン・マスク氏はツイッターで度々ドージコインに言及している。

続いて下記は、国内取引所では取扱いがないものの、時価総額の高い仮想通貨である。

テザー(USDT)

2015年からテザー社が発行している、米ドルに連動した仮想通貨(ステーブルコイン※)。

※ドルなどの法定通貨と価格が連動している仮想通貨をステーブルコインという。

バイナンスコイン(BNB)

海外の大手仮想通貨取引所バイナンスが発行する取引所トークン。四半期ごとに、バイナンスが得た利益の20%分のBNBが買い戻され破棄される。BNBの発行量を減らすことによって、価値を上昇させている。

USDコイン(USDC)

2018年9月にCircle社と仮想通貨取引所Coinbaseが発行した、米ドルに連動した仮想通貨(ステーブルコイン)。

仮想通貨の課題・リスク

仮想通貨にはどのような課題やリスクがあるのか解説する。

価格の変動が大きい

仮想通貨は価格の変動が大きく、価格が乱高下することも少なくない。株式投資の場合、日本の株式市場では平日の限られた時間のみ取引され、1日で変動する価格の幅も制限されている。

一方で仮想通貨の価格は休みなく動き続け、変動する価格の幅も制限されていない。

さらに仮想通貨の価格は、政情や規制の変更など複合的な要因に影響を受け、その値動きを予測することは極めて困難である。

仮想通貨には国境がない分、世界各地で発生するさまざまな出来事が価格に影響する可能性がある。価格の上昇幅が大きければ大きな利益を得られる一方で、急激な価格の下落により大きな損失を受けることも。

投資する際には価格変動が大きいことを念頭に入れたうえで、慎重な取引を行う必要があるだろう。

ハッキング

悪意を持ったハッカーからのサイバー攻撃により、仮想通貨が盗まれるリスクがある。

多くの仮想通貨はその仕組み上ハッキングはほぼ不可能であり、ハッキングは仮想通貨自体ではなく取引所の脆弱性をついて、取引所に保管していた仮想通貨が盗まれるケースが多い。仮想通貨の管理には細心の注意が必要となる。

詐欺が多い

仮想通貨の世界では、ハッキング以外にも、直接的な詐欺が多い。

例えば、以下の通りだ。

・TwitterやDiscord、Telegramのダイレクトメッセージで詐欺サイトへのリンクを送信してくる詐欺師

・仮想通貨プロジェクトそのものが詐欺(scam)で、プロジェクトのサイトにウォレットを繋げている人の資産が盗まれる

・詐欺ではない健全な仮想通貨プロジェクトの運営のアカウントが詐欺師に乗っ取られ、詐欺師がそのアカウントを使用してコミュニティ内で詐欺サイトへのリンクを投稿する

例外はあるが、基本的には詐欺サイトへウォレットを接続する際に承認した権限を利用されウォレットの資産が抜かれるものが多い。

仮想通貨を運用しているパソコンで、不用意に怪しいリンクを踏まないようにするというのが一つの対策だ。

マネーロンダリング

「匿名性があり、国境を越えた取引が容易に可能である]という特徴から、仮想通貨はマネーロンダリングに利用されることがある。

マネーロンダリングとは、犯罪で得た資金の出所を隠し、合法的なものと偽装する行為だ。

各国政府はKYC(Know Your Customer:顧客確認)とAML(Anti-Money Laundering:マネーロンダリング防止)の規則を強化するなど、この問題に対処しようとしている。

法整備

仮想通貨は日本国内では2017年に改正資金決済法で法律が制定されたばかりであり、比較的新しい分野といえる。今後も法令や税制の変更が行われる可能性があり、法整備の動向が仮想通貨の価格変動や開発に影響を与えることが考えられる。

秘密鍵の紛失

P2Pで仮想通貨を取引する場合、送金時に必要な秘密鍵は所有者本人にしかわからない。通常の金融機関のように管理者がいないため、紛失しても再発行はできない。

紛失して仮想通貨がウォレットから取り出せなくなるトラブルを避けるためにも、秘密鍵は個人で厳重に管理する必要がある

仮想通貨の始め方

仮想通貨の概要を理解し、いざ仮想通貨を始めてみたいと思ったら、何をすればよいのか。ここでは仮想通貨の購入方法から投資方法、投資に便利なツールまで、仮想通貨の始め方を解説する。

販売所と取引所

まず仮想通貨を始めるには、仮想通貨の販売所または取引所を利用して、日本円などの法定通貨と交換して仮想通貨を購入するのが一般的だ。

販売所では、仮想通貨交換業者から仮想通貨を購入するのに対し、取引所ではすでに仮想通貨を所有しているユーザー同士で売買する。

販売所はあらかじめ価格が決まっており、すぐに購入できる。取引所ではいくらで購入したいか注文を入れ、需給がマッチするまで待つ必要があるが、販売所よりも仮想通貨の価格が安く手に入れることも可能だ。

販売所と取引所の両方の機能を持ちあわせている仮想通貨交換業者も多い。また販売所や取引所により、現物取引と仮想通貨FXの両方対応している場合と、どちらかのみ対応している場合がある。自分のニーズに合わせて、最適な販売所や取引所を選ぶのが良いだろう。

ウォレット

仮想通貨の取引を行う場合、仮想通貨を管理するには2通りの方法がある。取引所が管理しているデジタルな財布「ウォレット」に購入した仮想通貨を保管しておく方法と、自分自身が管理するウォレットに保管しておく方法だ。

どのような頻度で仮想通貨を取引するのか、自分の責任で仮想通貨を管理したいのか、取引所のサポートを受けたいのかなど、目的に応じて選択する必要がある。

ウォレットはアナログな財布と違い、銀行口座のように送金や受け取りに利用できる。仮想通貨を安全に保管・管理するためには、ウォレットについて理解しておくことが欠かせない。

ウォレットには、主にインターネット常時接続されている「ホットウォレット」と、インターネットと接続されない「コールドウォレット」の2種類がある。

ホットウォレットはハッキングリスクが高い一方で仮想通貨の出し入れがしやすい。スマホアプリ型のウォレットやパソコンで保管するデスクトップウォレットなどがある。

一方でコールドウォレットはハッキングされにくく、専用端末で保管する「ハードウェアウォレット」と、紙で保管する「ペーパーウォレット」がある。

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仮想通貨取引所一覧

仮想通貨の取引所には「国内取引所」と「海外取引所」がある。国内取引所は日本語や日本円に対応しており、金融庁が定めるセキュリティ基準を遵守している。

初心者は、まずは国内取引所を利用するのが安心だろう。ここでは、国内の代表的な仮想通貨取引所を紹介する。


国内仮想通貨取引所

コインチェック

コインチェックは、19種類の仮想通貨を取り扱う取引所。東証一部上場のマネックスグループの傘下であり、2段階認証やコールドウォレット管理などによるセキュリティ対策が万全。使いやすいアプリが評判だ。

GMOコイン

GMOコインは、24種類の仮想通貨を扱っている。運営するGMOコイン株式会社は、GMOクリック証券を傘下に持つ、東証一部上場のGMOインターネットのグループ会社で、金融サービスに強みを持つ。

ビットフライヤー

ビットフライヤーは、取引量が国内最大級で、21種類の仮想通貨を100円から購入できる。シンプルな画面設計で、未経験の初心者でも始めやすい。

DMM Bitcoin

DMM Bitcoinは、DMM.comのグループ会社で、売買コストの安さに定評がある。26種類の仮想通貨を取り扱っており、レバレッジ取引ができる銘柄も豊富。

SBI VCトレード

SBI VCトレードは、SBI証券や住信SBIネット銀行などを傘下に持つSBIグループのノウハウにより高い信頼性を誇る。取扱基準が厳格なことで知られ、15種類の仮想通貨を取り扱っている。

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仮想通貨の税金

仮想通貨の取引で、年間20万円以上の利益が出た場合、確定申告が必要になる。株式投資やFXと異なり、証券会社が確定申告を行ってくれる特定口座がないため、自身で確定申告を行う必要がある。

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仮想通貨の価格の動きと価格に影響を与えた事件

2009年の誕生以降、代表的な仮想通貨であるビットコインの価格は大きく変動している。ビットコインの価格変遷と、価格に影響を与えた事件を時系列で紹介する。

・2009年:ビットコイン誕生(1BTC=約0.07円)

ビットコインが誕生。ビットコイン交換サイトNew Liberty Standardはマイニングの電気代を元に1ドル=1309.03BTCと設定した。

・2010年:ビットコインとピザを交換(1BTC=約7円)

初めて実店舗でビットコインが使用され、ピザ2枚が1万BTCで交換された。

・2011年:アメリカのニュース雑誌「TIME」で特集される(1BTC=約1500円)

TIME誌でのビットコイン特集をきっかけに認知度が一気に高まり、価格が急騰した。

・2013年:キプロス危機(1BTC=約7600円)

ギリシャ財政危機がキプロスに伝播。EUからの財政支援の条件の一部に国民の預金への課税も含まれていたため、預金者は資産を引き出すために銀行に殺到、銀行が閉鎖される騒ぎに。最終的には銀行課税は免れたものの、政府や銀行に対する国民の不信感は高まり、資産退避手段としてビットコインが買われた。

・2013年:NHKでも特集される(1BTC=約12万円)

世界中から注目を集めて価格の急上昇が続き、NHKでも特集されるなど日本での認知度も高まり価格が急騰した。

・2014年:マウントゴックス事件(1BTC=約2万円)

当時世界最大級のビットコイン取引量を占めていたMt.GOX(マウントゴックス)社でサーバーがハッキングされ、約470億円にも相当するビットコインが盗まれた。マウントゴックス社は経営破綻し、ビットコインへの不安の高まりから価格が下落した。

・2016年:改正資金決済法成立(1BTC=約5万円)

仮想通貨の法律「改正資金決済法」が成立、翌年施行。日本でもビットコインの動きが活発になり、価格は緩やかに回復。

・2017年:ビットコインの先物取引開始(1BTC=約200万円)

アメリカの先物取引所「CME(シカゴ・マーカンタイル・エクスチェンジ)」がビットコインの先物取引を開始。投資家が増加し、価格は一時200万円を突破した。

・2020年:新型コロナウイルス感染拡大(1BTC=約50万円)

新型コロナウイルスの感染が拡大し、株価と共にビットコインの価格も一時急落した。

・2021年:急騰(1BTC=約615万円)

2021年に入りビットコイン価格は急騰し、2月に一時5万8000ドルを突破した。

・2022年5月:仮想通貨UST、LUNAの破綻(1BTC=約370万円)

2022年5月、韓国企業のTerraform Labsが発行したステーブルコインである「UST(TerraUSD)」が破綻し、USTに関連した仮想通貨「LUNA」が大暴落した。

USTは本来、米ドルの価格と連動しており、1ドル近い価格を保ち続けるはずだったが、ステーブルコインとしての機能を失い、1ドルを大きく下回ったことで関連通貨である「LUNA」の価格が100万分の1になった。

これを受け、ビットコインは5月、500万円付近から370万円付近まで下落した。

・2022年6月:セルシウス破綻(1BTC=約250万円)

Celsius(セルシウス)は、ビットコインやイーサリアムなどの仮想通貨を運営に預けることで高い年利での運用が可能になるレンディングのサービスを提供していた中央集権型の金融プラットフォームだ。

簡単に言えば、セルシウスは「仮想通貨の銀行」のようなもの。

高い利回りを目的に、セルシウスに多くの人が多額の仮想通貨を預けており、セルシウスは約3兆円もの資産を保有していたが、

2022年6月13日、セルシウスが突然顧客資産の出金を停止することを発表した。

セルシウスが発表した出金停止の理由は「市場環境が極端であるため」というものだった。

出金停止の具体的な理由は、stETHの価格の乖離であるとされている。

「Lido Finance」というDeFi(分散型金融)に、仮想通貨であるイーサリアム(ETH)を預けると、「stETH」というイーサリアムを裏付け資産とする債券トークンを入手することができた。

セルシウスはstETHを大量に保有していたが、

stETH=1ETH

で交換されるはずが、5月のテラショックの波及によるものかstETH=ETHのバランスが崩れ、stETHの価値が下がった。

stETHの価値が下がったことで、セルシウスは顧客の出金に対応すると赤字が膨らんでしまう(顧客にはstETHではなく1ETHを返さなければいけないため)、顧客資産の出金に追い込まれたのではないかとされている。

セルシウスの出金停止の発表をきっかけに、仮想通貨市場に激震が走った。ビットコインは6月、400万円付近から250万円付近まで下落した。

・2022年7月:スリーアローズ・キャピタルズが破産申請(1BTC=269万円)

シンガポールを拠点とする資産運用会社であるスリーアローズ・キャピタルズ(3AC)が2022年7月に破産申請を行った。

破産の原因は、先ほど紹介した2022年5月のTerraUSDの破綻と、stETHトークンの価格乖離、そしてビットコイン投資信託(GBTC)の価格が下がったことに影響を受けたためだ。

GBTCは、ビットコイン自体を購入することなく証券口座からビットコインに投資をすることができる商品だが、GBTCの価格がビットコインを大きく下回った。

スリーアローズキャピタルズはTerraのプロジェクトへ多額の投資をしていたことや、GBTCを大量に保有していたことなどが破産に繋がった。

・2022年11月:仮想通貨取引所FTX破綻(1BTC=約230万円)

2022年11月、大手仮想通貨取引所「FTX(エフティーエックス)」が破綻し、ビットコインは230万円付近まで下落した。

2022年は悪いニュースが多く、ビットコイン含め仮想通貨全体の価格は下がり続ける傾向にあった。

・2023年1月:ジェネシスが破産申請(1BTC=約265万円)

仮想通貨融資企業であるジェネシス・グローバル・キャピタルは2023年1月19日、破産申請を行った。

ジェネシス・グローバル・キャピタルは、スリーアローズ・キャピタルズとFTXの破綻の影響を受け、2022年11月より顧客資産の出金を停止していたことが話題になっていた。

・2023年6月:米SECがバイナンスを訴訟(BTC=373万円)

米証券取引委員会(SEC)は6月5日、バイナンスと同社の米プラットフォームであるバイナンスUSのCEOであるジャオ・チャンポン氏(通称CZ)に対してコロンビア地区裁判所で訴訟を起こした。

SECは、バイナンスで取引されているトークンが証券であったと主張した。それらのトークンはBNB、BUSD、ソラナ(SOL)、カルダノ(ADA)、ポリゴン(MATIC)、ファイルコイン(FIL)、コスモス(ATOM)、サンドボックス(SAND)、ディセントラランド(MANA)、アルゴランド(ALGO)、アクシーインフィニティ(AXS)、コティ(COTI)だ。

・2023年のビットコイン価格は徐々に回復(1BTC=約372万円)

2023年に入ってからは徐々に価格が回復しており、右肩上がりのチャートとなっている。

仮想通貨の市場規模

仮想通貨の市場規模は「発行済み仮想通貨の価値の合計」に相当し、時価総額は「1枚当たり価格」×「発行済み枚数」で計算できる。市場規模の推移は、コインマーケットキャップで確認できる。2023年5月現在のチャートは上記の通りで、仮想通貨市場全体の規模は約158兆円近くにものぼっている。

市場規模は仮想通貨1枚あたりの価格が上昇するか、発行枚数が増加することで増えていく。直近における価格の上昇や、次々と新しい仮想通貨が誕生していることを踏まえると、今後もさらに市場規模が拡大していくことが想定される。

仮想通貨のビジネス事例

仮想通貨・ブロックチェーンは従来のビジネスモデルを大きく変える可能性を持つ画期的なテクノロジーであり、さまざまな分野で応用されている。国内外のビジネス事例を分野別に紹介しよう。

Web3分野

Web3はイーサリアムの共同設立者であるギャビン・ウッド氏が2014年に提唱した概念であり「ブロックチェーンを活用した分散型のwebシステムやエコシステム」を表す。

実は、Web3に関わる取り組みは国内でも意欲的に行われている。以下がその例だ。

2022年9月30日、河野太郎デジタル大臣がデジタル庁に「Web3研究会」を設置。

2022年10月3日、岸田首相が所信表明演説にて「メタバース、NFTを活用したWeb3サービスの利用拡大に向けた取り組みを進めます。」と表明。

2023年5月9日、平将明衆院議員を座長とするweb3プロジェクトチームは官邸にて、web3に関する議論をまとめたホワイトペーパーを岸田文雄総理に提出した。

ホワイトペーパーには、web3事業を推進していくうえでの解決するべき問題(税制改善や法律の整備など)が記載されている。

問題が解決されれば、web3が日本で広く知れ渡る日もそう遠くなくなるだろう。

金融分野

仮想通貨は、コスト削減や手続きの迅速化などにより、金融業界に大きな革命をもたらしている。

分散型金融「Defi」

「Defi(Decentralized Finance)」とは、ブロックチェーン上に構築される金融エコシステムのことで「分散型金融」と呼ばれる。スマートコントラクトによって銀行の貸付機能や取引所の仲介機能を自動化可能で、金融のあり方を刷新するとして注目されている。

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IoT分野

「モノのインターネット」と呼ばれる「IoT(Internet of Things)」は、モノにインターネットが接続されることで、データの管理や分析などによる高品質なサービスの実現を目指すものである。同時に多くの人が使用するIoTには分散処理が適しており、ブロックチェーン技術の活用が期待されている。

自動車業界のブロックチェーンコンソーシアムMOBI

MOBI(Mobility Open Blockchain Initiative)は、BMWやホンダ等の自動車メーカー、ボッシュ等の自動車部品メーカーなど自動車業界を中心とした90社以上が参加するコンソーシアム。

収集した自動車関連のデータをブロックチェーンで管理・共有することでモビリティサービスをより安く効率的にすることを目指している。

車両に固有のIDを付与し製造過程の管理や所有者の保証に活用したり、利用状況を元にした自動車保険や渋滞管理システムの創出を計画している。

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ゲーム分野

仮想通貨はゲームの世界にも普及しており、ブロックチェーン技術を活用したブロックチェンゲームが多数登場している。

ブロックチェーンゲームでは、育てたキャラクターやゲーム内アイテムをNFT(ノンファンジブルトークン、非代替トークン)として表現しブロックチェーンに載せられるため、コピー不可能な固有の資産としてNFTマーケットプレイスで売買できる。

将来的には、稼ぐためにプレイし、ゲーム内で築いた資産を販売や転売することで生計を立てるプレイヤーが出てくる可能性がある。

Decentraland (ディセントラランド) 

イーサリアムのブロックチェーンを使ったゲーム「ディセントラランド」は、ランド(LAND)と呼ばれるVR世界の不動産や土地を売買したり、VR内のミニゲームで遊んだりできる。自分のランド内で魅力的な施設を作れば収益化することも可能だ。ゲーム内通貨はERC-20トークンのMANAが使われている。

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仮想通貨の展望

ブロックチェーンなど仮想通貨を支える新たなテクノロジーは、金融分野のみならず製造業や流通、不動産など多種多様な業界や業種で応用が期待されている。

仮想通貨やブロックチェーンを活用した新たなビジネスモデルが、今後も続々と誕生していくだろう。

仮想通貨を単なる投機対象として見るだけではなく、新たなテクノロジーとしての可能性にも着目し、アンテナを高く張っておくことで、いち早くその動向にキャッチアップしたい。

仮想通貨をより身近なものとするために、まずは仮想通貨の売買にチャレンジしてみるのも良いだろう。

仮想通貨は、難解な技術用語を理解するIT系パーソンのためだけのものではない。誰に対しても開かれているものであり、積極的にその世界に参加してみてはどうだろうか。