コインベース、イーサリアムステーキングのシェア低下──規制圧力が強まるなか、投資家がリスク避ける | CoinDesk JAPAN(コインデスク・ジャパン)
米暗号資産(仮想通貨)取引所大手コインベース(Coinbase)は、急成長していたイーサリアム(ETH)ステーキングビジネスの市場シェアを失っている。米規制当局が同社のステーキングサービスへの圧力を強めているためだ。
イーサリアムステーキングとは、ネットワークにイーサリアムを預け入れることでトランザクション(取引)の承認作業に参加し、報酬を受け取ること。アップグレードによりコンセンサスアルゴリズムがプルーフ・オブ・ステーク(PoS)に移行し、ステーキングの仕組みが実装された。
需要が高まるなかでシェア低下
暗号資産投資会社21シェアーズ(21Shares)がまとめたDune(ブロックチェーン分析ツール)のチャートを見ると、イーサリアムステーキングにおけるコインベースのシェアは9.7%に低下し、2021年5月以来の最低水準となった。「シャンハイ」アップグレードによってステーキングしたイーサリアムの引き出しが可能になった4月12日に記録した13.6%から大幅に減少している。
シェア低下は、イーサリアムステーキングの需要が急増する中で起きている。シャンハイによりステーキングへの預け入れが増加し、預け入れ額が引き出し額を約350万ETH(現在価格で約73億ドル、約1兆220億円、1ドル140円換算)上回っている。
しかし、コインベースでは同期間に5億1700万ドルの純流出が起きている。これは競合する暗号資産取引所クラーケン(Kraken)に次いで2番目に多い。
SEC提訴でコインベースから流出
21シェアーズのアナリスト、トム・ワン(Tom Wan)氏はCoinDeskに対し、「潜在的な理由としては、投資家がコインベースのステーキングサービスを利用することで規制リスクにさらされることを望んでいないことが考えられる」と指摘した。
クラーケンは今年初めにSECに提訴され、和解の一環として米顧客向けのステーキングサービスを停止した。
SECは6月6日、コインベースに対しても、ステーキングサービスにおいてユーザーに未登録の証券を提供したなどで連邦証券法に違反したとして提訴を行った。しかし、コインベースはステーキングサービスを維持することに引き続き取り組んでいると表明している。
21シェアーズがまとめたブロックチェーンデータによると提訴以降、コインベースはイーサリアムのプルーフ・オブ・ステークネットワークから約14万9300ETHを引き出したが、預け入れたのはわずか5万2992ETHだった。1億8300万ドル相当の純流出は、ユーザーがイーサリアムのステーキングを解除し、コインベースの利用を避けたことを示している。
競合企業が追い上げ
コインベースは依然としてステーキングサービスプロバイダーとしてシェア第2位を維持しているが、Figment、RocketPool、Kilnなどの競合企業が急成長して差を縮めつつあることがDuneのチャートから読み取れる。
コインベースはステーキングによってユーザーが獲得した報酬に対して25%の手数料を徴収しているため、ステーキングされたイーサリアムが減少すると収益が減少する。
|翻訳:coindesk JAPAN
|編集:林理南
|画像:Dune Analytics/21Shares
|原文:Coinbase Loses Market Share in Ether Staking as Regulatory Pressure Mounts