暗号化の速度とコスト改善のVPU開発企業、50億円規模の資金調達 | CoinDesk JAPAN(コインデスク・ジャパン)

ハードウェアに特化したスタートアップ企業ファブリック・クリプトグラフィー(Fabric Cryptography)は、ブロックチェーン・キャピタル(Blockchain Capital)および1kxが共同で主導したシリーズAの資金調達ラウンドで3300万ドル(約48億円、1ドル=146円換算)を調達した。

他の投資家には、オフチェーン・ラボ(Offchain Labs)、ポリゴン(Polygon)、マターラボ(Matter Labs)などが名を連ねている。同プロジェクトは以前、メタプラネット(Metaplanet)が主導するシードラウンドで600万ドル(約8.8億円)を調達していた。プレスリリースによると、ファブリックはMITとスタンフォード大学を中退したマイケル・ガオ(Michael Gao)氏とティナ・ジュー(Tina Ju)氏、そしてサガー・レディ(Sagar Reddy)氏を始めとしたハードウェア業界のベテラン達によって設立された。

同社によれば、新たな資金は「コンピューティングチップ、ソフトウェア、暗号化アルゴリズムの構築」に使用される予定だという。

同社のロードマップの中心となるのは、「検証可能処理ユニット」という、VPU と呼ばれる新しい処理ユニットであり、これは暗号化を処理するために追って調整される予定のものだという。

需要増の背景

今日、グラフィック処理装置(GPU)による高速計算の需要が急増しているAIや、暗号化を多用するブロックチェーンアプリケーションの利用増加に対応するため、新しいコンピューティングチップの開発が企業によってなされている。

ファブリックはプレスリリースで、このVPU は「暗号化に特化し、命令がセットされたアーキテクチャを使用する初のカスタム・シリコン・チップ」であり、「あらゆる暗号化アルゴリズムを、チップによってネイティブに高速化およびサポートされる数学的構成ブロックに分解できる」と述べている。

同社によれば、この新しいチップは今年後半に生産が開始される予定だという。

プレスリリースでは、このVPU は「CPU、GPU、機能が固定化された暗号化と比べて、高度な暗号化ワークロードの実行速度とコストを大幅に改善する準備ができて」おり、「エヌビディア (Nvidia)の GPU や他の多くのスタートアップ企業のチップが AI に対して行っていることを、暗号化に対して行うだろう」と述べられている。Fabric Cryptography

|翻訳・編集:T.Minamoto
|画像:Fabric Cryptography
|翻訳:シューマー氏、米国仮想通貨政治の新時代の幕開け